秒速薬膳でアッという間に健康に

過敏性腸症候群は春菊・ゆず・ジャガイモを組み合わせて対策

香り肉じゃが
香り肉じゃが(提供写真)

 電車に乗っているとき、会議のとき、急にお腹が痛くなったり、トイレに行きたくなって困る……。ストレスによって自律神経が乱れ、便秘や下痢を繰り返したり、腹痛や腹部膨満感などの便通異常を起こす「過敏性腸症候群」。日々の生活に支障を来さないように、薬膳でお腹をしっかりサポートしましょう。

 過敏性腸症候群は、中医学において「肝」と「脾(ひ)」と呼ばれる臓器の不調が原因と考えます。

 肝は自律神経をつかさどる臓器で、緊張や不安、ストレスがかかると真っ先にその影響を受けて働きが低下します。肝がうまく機能しないと気の巡りが悪くなり、イライラ、怒りっぽい、不眠などの症状が引き起こされます。

 中医学では「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の五臓は、互いに協力して体を機能させていると考えます。よって、ひとつの臓器にトラブルが起きると、ほかの臓器の働きにも影響を及ぼします。肝の弱りによる影響を最も受けやすいのが脾。ストレス過多な現代人は、肝の弱りから脾が抑圧されて不調を来すケースがとても多いのです。

 脾は飲食物の消化・吸収をつかさどる臓器です。過敏性腸症候群は、肝の不調が脾のこれらの機能を阻害しているために起こります。この場合、脾の働きを整えるだけではなく、根本の問題となる肝をケアする食養生が重要になってきます。

 症状の改善のためには、まず肝の働きをスムーズにする食材を取り入れましょう。おすすめは春菊。肝の働きをサポートし、滞った気の巡りを改善して穏やかな気持ちにさせてくれます。ストレスによる不眠や、寝ても夢ばかり見て疲れが取れないといった症状にもよい野菜です。

 そのほか、野菜ではセロリ、三つ葉、青じそなどの香り野菜、大根なども改善に役立ちます。

 また、かんきつ類も肝の機能を高めて、気を巡らせてリラックスさせる効果があります。

 おすすめはゆず。食欲不振や胃の不調も改善してくれるので、搾り汁や皮を料理にこまめに使うのがいいでしょう。

 ハーブ類はすべて気の流れをスムーズにしてストレスを緩和するのに役立ちます。会社のデスクには、カモミールやミントなどのハーブティーを用意してリラックスに努めましょう。そして、脾の働きを高める食材も併せて取り入れることも大切です。

 おすすめはイモ類。ジャガイモ、ナガイモ、サトイモなどは弱った脾を力づけて、腸の働きを整える作用があります。そのほか豆類、きのこ類も脾のパワーアップに役立ちます。

■過敏性腸症候群対策薬膳レシピ

香り肉じゃが

 肝の働きをスムーズにする春菊、ゆずと、脾の働きを高めるジャガイモを組み合わせたレシピ。市販の肉じゃがを使えば、スピード完成。ゆずが香り、春菊のほろ苦さが加わった肉じゃがは大人の味わい。おつまみにもぴったりです。肉じゃがが熱いうちに、春菊の葉を混ぜ込みながら食べるのがおすすめ。

【材料】
●肉じゃが(市販)  250グラム
●春菊  4分の1わ
●ゆずの皮  適量

【作り方】
 肉じゃがを器に盛り、ちぎった春菊の葉をのせ、千切りにしたゆずの皮を散らす。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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