■水分制限が必要な病気の人は主治医の指示に従う
心臓病の中には、治療の一環として水分制限が行われるケースがあります。うっ血性心不全がその代表的な病気です。われわれの体には、血流を維持するために一定量の水分をためる仕組みがあります。体内の水分が減ると、水分をためるホルモンが分泌され、体液の排泄が最小限に抑えられます。ところが、心不全で心臓の機能が落ちると血流が不十分になることなどで、実際には水分が減っていないのに、減ったと認識して体液量を増やしてしまいます。体液量=血液量が増えすぎると、血液を全身に送る心臓の負担は大きくなります。ですから、心不全の患者さんは、心臓の負担を減らすために水分制限が必要になるのです。
高度にうっ血がある心不全の場合、利尿剤を使って体内の水分量を減らすケースもあります。しかし、それでもある程度の水分は摂取する必要があります。利尿剤が効かないくらいの脱水状態になると、今度は腎臓への血流低下から尿が作られなくなり、命の危険さえ招いてしまうからです。
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