時間栄養学と旬の食材

チコリは夜に食べる 糖尿病予防や便秘解消効果が期待できる

チコリ
チコリ

 最近、デカフェ(カフェインレス)飲料の幅も広がる中で、チコリ(アンディーブ)の根を焙煎したチコリコーヒーが密かに話題になっています。カフェインやタンニン酸を含んでいないため、夜、寝る前にも安心して飲むことができます。乾燥させた根で作ったお茶もハーブティーとして売られています。

 もともとベルギーやフランスで古くから食用として利用されていたチコリは、特殊な苦味があり、明治時代に伝来した当初は世間に浸透しませんでした。しかし最近では、遮光して育てる軟白栽培によって、まるで小さな白菜のように黄緑色に成長した若芽が一般的に食されるようになっています。生食にするほか、炒めたり煮たりして食べられることが多く、チコリの葉をお皿代わりのチコリボードにした写真をインスタグラムなどでも見かけることが増えたように思います。

 そんなチコリに含まれる有効成分で代表的なものがチコリ酸です。糖尿病モデルラットを用いた実験では、チコリ酸抽出物を6日間食べ続けることで高血糖を有意に減少させることが報告されていて、糖尿病予防としての効果が期待できます。

 また、豊富に含まれている食物繊維のイヌリンは、腸内細菌との関係性が非常に注目されています。イヌリンには、でんぷんを分解する酵素が働かないので、分解されずに大腸に到達。腸内微生物によって発酵されることで、腸内環境の改善と便秘解消に効果があるのです。ブロイラーにイヌリン0.1%分のチコリを5週間飲用させた際、十二指腸の絨毛(じゅうもう)の高さ、広さが増加し、細菌やウイルスの侵入を防ぐバリアー機能が高まるという報告もあります。また、2型糖尿病患者にイヌリン摂取を14日間行うことで、空腹時血糖値濃度、総コレステロール、LDL(悪玉)コレステロールの減少を報告しているものも。

 時間栄養学の観点から考えると、同じ食事であっても、朝食に比べて、夕食のほうが糖代謝機能が低下して血糖値が高くなることが分かっているので、ぜひ夕食で食べたい食材です。

 今の時季は国産が出回りますが、10~5月はベルギー産、6~9月はニュージーランド産と、一年中食べることができます。お手にとってみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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