日本のエイズ患者は見えなくなった コロナ禍で保健所検査が51.5%減

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そもそもHIVの感染拡大防止には早期診断・早期治療が重要で、1987年から始まった保健所での無料・匿名検査が力になってきた。

 実際、HIV感染者の半分は保健所で見つけられ、うち20%は感染後、半年以内の早期感染者だった。

「いまはHIVに感染していても早期に治療すれば95%以上はエイズの発症を抑えられ、他人への感染も予防できます。また、たとえエイズを発症していても治療を続ければ9割の人は社会復帰が可能で、根治は無理でも糖尿病や高血圧のように治療で管理できます」

 だからこそ検査は重要なのだ。もちろん、できればHIVに感染したくはない。

 何か方法はないのか?

「HIVに感染したかもしれないと思ったら、セックス後72時間以内に抗HIV薬の服用を開始し、28日間毎日1~2回飲む『PEP』(ペップ=暴露後予防内服)と呼ばれる予防策があります。WHO(世界保健機関)の調査では感染リスクを80%以上低減できるとされています。また、セックスをする前から2種類の抗HIV薬が入っている合剤を飲む『PrEP』(プレップ=暴露前予防内服)と呼ばれる予防法があり、9割程度の効果があるとされています」

 いずれも始める前には性感染症専門医に相談し、定期検査が必要となる。

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