みんなの眼科教室 教えて清澤先生

なぜコンタクトレンズを使っている人はかかりつけ眼科医が必要なのか

写真はイメージ

 そうした重症のコンタクトレンズ外傷の患者さんが来院されたときには、ひとまず応急の対応をして、角膜を専門に治療している大学病院に紹介を出すケースも多いのです。紹介先に状況を的確に伝え、必ずその日のうちに大学病院の先生の診察を受けられるように、電話で交渉するのも開業医の大事な仕事です。

 中には、水道水でレンズを洗っていたことで起こったアカントアメーバ角膜炎などのように、一般の開業医では診断も治療もできない疾患である場合もあります。いずれにしても、角膜病変が少し落ち着くと、患者さんは開業医のもとに大学病院の解答付きで戻されてきます。

 また、コンタクトレンズを使われる患者さんでも、予備の眼鏡を作っておくことをお勧めしています。疲れて目が赤い、ドライアイが昂じて目の異物感が強いなど、コンタクトレンズ装用を続けるべきではない状況の時には、すぐにコンタクトレンズを外して眼鏡に戻していただきたいからです。コンタクトレンズ装用では無理をしてはいけません。無理に装用を続けると、炎症や潰瘍に対して角膜周辺部からの血管侵入が起きやすく、それは二度と完全に退縮することはないのです。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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