進化する糖尿病治療法

アルコールのカロリーは糖質より「度数」の方が糖尿病には影響が大きい

写真はイメージ(C)PIXTA

【メトホルミンを服用の人は乳酸アシドーシスに注意】

 2型糖尿病の治療でよく使われる薬がメトホルミンです。ビグアナイド薬という種類に含まれ、インスリンの効果を良くして、血糖値を下げる効果があります。がんの発症リスクを低減したり、インスリン分泌を刺激する消化管ホルモンGLP-1の分泌を促進し体重減少に役立つ機序の可能性も報告されており、重宝されています。

 ただ、飲酒で重篤な乳酸アシドーシスが発現した事例が報告されています。

 乳酸アシドーシスは、血中の乳酸の値が上昇し、非ケトン性アシドーシスという状態になり、意識障害から昏睡などに至る疾患。過度の飲酒で肝臓の乳酸の代謝が低下し、乳酸が蓄積しやすくなり、加えて飲酒によって脱水状態となるため、乳酸アシドーシスのリスクが高くなるのです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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