コロナ第6波に備える最新知識

英国で1日当たりの新規感染者が過去最多を記録…オミクロン株は本当に危ないのか

英国では過去最多の感染者数に(ウエストミンスター橋を渡る人々=ロンドン)/
英国では過去最多の感染者数に(ウエストミンスター橋を渡る人々=ロンドン)/(C)ロイター

 英国で15日、新型コロナの1日当たりの感染者数が過去最多の7万8610人に上ったという。強い感染力を持つとされる「オミクロン株」が登場したためで、1月8日の6万8053人を更新した。その後も感染者数は過去最多を更新し続け、17日には9万3045人となった。

 英国保健相は15日、「ロンドンの新型コロナ感染者の6割はオミクロン株」と語り、今後も感染者数は増えていくことは確実な情勢だ。

 WHO(世界保健機関)も12日の声明で「限られた証拠による」と前置きしたうえで「オミクロン株はデルタ株よりも感染の拡大が速いと分析しており、市中感染が起きている地域ではデルタ株に置き換わる可能性が高い」としている。

 オミクロン株は従来株に比べて50以上の変異があり、人間の細胞に結合するウイルス表面の突起部分だけで32カ所もの変異があることが確認されている。そのため、強い感染力を持つといわれている。香港大学の研究チームはオミクロン株は気管支での増殖が70倍多いとも報告している。

 当然、日本もオミクロン株への備えが必要だが、感染力が強く新規感染者が増えたからといってそれがそのまま危険ということになるのだろうか。

 17日の英国の死者数は111人。これまで最も多い感染者数を記録した1月8日の1325人のおよそ12分の1、最も死者数が多かった1月20日の1820人の16分の1以下となる。オミクロン株が最初に報告された南アフリカはどうか? デルタ株が猛威を振るった7月には1日当たりの死者数は500人を超えた日もあったが、12月16日は36人。南アの保健相によるとオミクロン株がもたらした感染第4波の2週目のコロナ患者の入院率は1.7%だったという。

 ちなみに同国のデルタ変異株による感染第3波の2週目では19%だった。

■換算すると日本では新規感染者は16.7万人

 では日本と英国とを比べるとどうか? 日本と英国の人口には約1.8倍の開きがあり、人口比を考えると、日本でいえば新規感染者9万3045人は1.8倍した16万7481人、死者111人は1.8倍した199人ということになる。

 日本で1日当たりの死者数が最も多かったのは5月18日の216人。英国の現在の新規感染者数には驚かされるが、死者数で見れば、まだ日本の最多数を超える状況にはないということだ。

 むろん、日本と英国とは医療体制も異なるため単純に比較するわけにはいかない。しかし、17日現在の1日当たりの新規感染者数が183人、死者数0人の日本が今後いくら新規感染者が増えたとしても、いまの英国ほど感染者数、死者数は増えないのではないか?

 感染者が多くなれば医療機関は入院患者でいっぱいになって医療逼迫が起こり、重症者や死者も増えるかもしれない。

 しかし、英国では医療逼迫も起きていない。日本も第5波の反省から受け入れ体制の強化が進んでいる。

 結論を出すには時期尚早だが、病原性の低いオミクロン株が病原性の高いデルタ株を駆逐することにより、新型コロナが収束するのではないか。しかも、最新の日本の研究で日本人はさまざまなコロナウイルスに対抗するために備わった免疫機構が新型コロナにも働くため、欧米人よりも新型コロナになりにくいと報告されている。

 警戒は必要だが、換気、マスク着用、3密回避などをしっかり続けていけば、いたずらにオミクロン株を恐れる必要はないのではないか。

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