医者も知らない医学の新常識

シュウ酸が豊富なホウレン草を控えると腎結石を予防できる?

ホウレン草

 腎結石は腎臓の中に硬い塊(結石)ができる病気で、それが尿管に詰まると、尿路結石の痛みの発作を起こします。その痛みはとても激しいもので、一度体験すると、絶対に二度は体験したくない、つらい症状です。腎結石には幾つかの種類がありますが、最も多いのがシュウ酸カルシウム結石と呼ばれるものです。

 シュウ酸は野菜などのアクの成分ですが、ビタミンCなどから体でつくられる代謝産物でもあります。不必要な成分として尿から排泄(はいせつ)されるのですが、尿のカルシウムとくっつくと結石になるのです。

 シュウ酸を多く含む野菜の代表はホウレン草です。それでは、ホウレン草を制限すれば腎結石の予防になるのでしょうか? それについての大規模な研究結果が、2007年の腎臓病の専門誌に発表されています。全体で20万人以上を40年以上観察した、とても大規模な研究です。

 それによると、男性と高齢女性でホウレン草をたくさん食べる人は、食べない人と比べて3割程度、腎結石のリスクが増加しました。特に男性でカルシウムを取る量が少ないと、その傾向は強くなっていました。カルシウムをたくさん取っていれば、それがシュウ酸とくっついて便から排泄されるので、尿に出る量が減るのです。

 確かにホウレン草の取り過ぎは結石のリスクを少し高めますが、カルシウムを取るなどバランスに気を付けていれば、そこまで心配する必要はないようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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