コレステロール降下薬「スタチン」が新型コロナの死亡者減らす 海外で研究報告

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 スタチンはコレステロールの合成を阻害することでそれらの活性を抑えるため、炎症や酸化ストレスを抑制する作用があるのだ。

■本格的な研究はまだ数が少ない

 また、スタチンは内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)を活性化させ、血管をしなやかにする血管拡張物質の一酸化窒素(NO)の産生を増加させる。これによって動脈硬化を防いだり、血管内皮に対して保護的に働く。さらに、交感神経の活性化を抑えて血管収縮などに関係するAT1受容体の発現レベルを低下させたり、アンジオテンシンⅡの作用を弱めるので、動脈硬化や血管収縮、血栓形成を予防する効果もある。

「新型コロナウイルス感染症の本態は、炎症性の血管内皮障害であることが分かっています。ウイルス感染などによって血管内皮に炎症や免疫反応が生じると酸化ストレスも増加します。それで血管内皮が傷ついたり、その機能が低下するのです。それが、さまざまな血管や臓器に広がることで、心臓、肺、脳、腎臓、消化管といった全身の臓器障害が起こったり、血栓症が引き起こされます。先ほど触れたように、スタチンには炎症や酸化ストレスを抑制し、血管内皮を保護する作用があります。今回の研究でスタチン使用者の新型コロナによる死亡が低下していたのは、それが一因だと考えられます」

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