拒食症・過食症の根治につながるか…注目の調査結果が発表

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■日本では親子関係が重要なリスク因子

 対象となった摂食障害患者は日本人が96人、米国人は137人。

「結果は、日本人では完璧主義な性格に加え、家族の不仲、親からの高すぎる期待、親の不在、親の精神状態といったものが重要なリスク因子であることが示されました。一方で、米国では重要なリスク因子だった虐待や家族の肥満は、日本では示されず、認識の違いや肥満人口の差とも解釈されました」

 これを受け、宗准教授が強調するのが、摂食障害治療における親子関係の重要性だ。

「拒食症は単なる食欲不振ではなく、過食症もただの食い道楽ではありません。『飢餓でも空腹感を感じられない』『味覚の毀損から、いつまでも満腹になれず食行動が止まらない』といった身体感覚の異常(失体感)が背後の病理として存在します。そしてそれは、幼い頃から繊細な性格のために周囲に気持ちを理解してもらえない中で、大切な『本音感情』を感じる力が低下し、そのしわ寄せでどうでもいいことには過敏になってしまっているところに原因があります。これを理解しなければ摂食障害の根治には至りません」

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