がんと向き合い生きていく

来年へ向けてオミクロン株に対する備えは大丈夫なのか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 令和3年、私が楽しかったことは、この12月で2歳になったたったひとりの孫(男の子)に動画で会えること、そしてメジャーリーグで二刀流を成功させた大谷翔平の活躍くらいだったように思います。

 コロナ禍で、なかなか明るい気持ちになれない一年でした。GoToトラベルが中止となっても、新型コロナウイルスの感染は昨年暮れから1月には大きな波となり、たくさんの犠牲者が出ました。さらに4波、5波と大きくなり、まん延防止措置、緊急事態宣言が長く続きました。

 PCR検査数はわずかしか増えず、総理は「国民の安心安全」という言葉を繰り返しました。多くの国民が中止を希望し、コロナ対策分科会の会長である尾身茂さんは総理の隣に立って「普通はやらない」と言ったオリンピック・パラリンピックが、ほぼ無観客で行われました。三波春夫の「東京五輪音頭」が国中に響き渡り、心躍ったあのオリンピックは1964年の10月でした。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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