がんと向き合い生きていく

薬でがんは予防できるのか アスピリンは大腸がんを抑制する

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 胃がんに関しては、その発生のほとんどがヘリコバクター・ピロリ菌感染によるものだと分かっており、抗生剤を使ったピロリ菌除菌で胃がんの発症を減少させることも判明しています。しかし、除菌によって胃がんが発生しなくなるかどうかまでは分かっていません。いずれにせよ、胃がんを減らすにはピロリ菌除菌が有効な手段であるのは確かで、胃がんの死亡率は1970年代から低下傾向にあります。

■ワクチン接種でも減らせる

 がん予防のためのワクチンもいくつか接種が行われています。子宮頚がんの予防には子宮頚がん予防ワクチンがあります。子宮頚がんはそのほとんどがHPV(ヒトパピローマウイルス)感染によるもので、ワクチン接種により感染を予防し、88%ほどがんを減らせるようです。

 日本では2013年4月に12~16歳(小学6年から高校1年に相当)の女性に対して、無料の定期接種として積極的勧奨としました。ところが、接種後に体の痛みなどさまざまな症状の訴えの報告があり、厚労省は同年6月に定期接種を維持しながら、積極的勧奨を中止しました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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