最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

90歳代の3兄妹が最期を自宅で迎えるためにやったこと

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 在宅医療を受けられる患者さんや、そのご家族にはさまざまな事情を抱えている方がいます。私たちは常にその各事情に合わせ、テーラーメードな医療を提供するように努めています。

 たとえどんな環境や条件であっても、「患者さんの生活を丸ごと支える」という思いを持って、その方にとって最善な在宅医療を実施することが当院の強み(コアコンピタンス)と心得ています。

 今から6年前のことです。ある診療所に勤務していた時で、地域包括支援センターから、高齢者が体調不良を訴えたので対応してほしいという要請を受けてうかがったことがありました。

 神田川沿いにある小さなお家に住む、90歳代の3兄妹のご家庭で、ご兄妹のうち、熱中症で体調不良を訴えたお兄さんが患者さんでした。迎えていただいた次男のお話によると、当初は軽い夏風邪だったのが、食欲が減退し、あっという間に熱中症になったとのこと。3人はこれまで、さまざまな人生の苦難を力を合わせ乗り越えてきたが、こうしてこれまで生きてこられたのも3人が協力してきたからで、この住み慣れた自宅に家族と一緒に住み続けられることがありがたいとおっしゃっていました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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