Dr.中川 がんサバイバーの知恵

韓国の女優パク・ソダムさんは切除も 甲状腺がんは経過観察でよしの根拠

甲状腺がんで手術を受けたパク・ソダムさん(C)Yonhap News Agency/共同通信イメージズ

 韓国では1999年から甲状腺がん検診が広がり、死亡に直結しないタイプの手術が増加。その過剰診断が問題視され、今では甲状腺がん検診の受診者が減り、甲状腺がんと診断される人が減少に転じています。

 しかし、日本では、東日本大震災の原発事故で当時18歳以下の全員に甲状腺検査を行った結果、200人を超える小児甲状腺がんを発見。原発事故で甲状腺がんの増加を関連づける報道が相次ぎましたが、誤解です。死亡に関係ない甲状腺がんを掘り起こしただけで、過剰診断です。

 男性の前立腺がんについても、同じことが当てはまります。過剰診断、過剰治療に注意してください。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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