医者も知らない医学の新常識

腎不全は男性に多いが女性はより危険! 死亡率が11%高い

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 腎臓は体の水分や塩分のバランスを調節したり、不必要な成分を排泄(はいせつ)する働きを持つ大切な臓器です。腎臓の働きが高度に低下した状態を「腎不全」と言いますが、腎不全になると血圧は上がり、体はむくみ、吐き気やだるさで動けないような状態になります。末期の腎不全ともなると、透析をするか腎移植をしないと、命は助からないのです。

 通常、この腎不全は正常より少し腎機能が低下しただけの状態から始まり、それから徐々に進行していきます。そして、この腎臓病の進行には、男女の性別の差が大きいことが分かっているのです。

 腎不全になる頻度は、女性より男性で高く、その進行も男性の方が速いことが知られています。ところが、この腎不全が生死に与える影響は、女性の方がより深刻であることが最近報告されて注目されています。

 昨年、「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に発表された論文によると、女性の腎不全患者は男性よりも11%死亡率が高く、寿命は4年近く短縮するというのです。その傾向は特に若い年齢で顕著で、動脈硬化や胃腸に関連する死亡が増えていました。その正確な原因は不明ですが、一般的に使用される腎機能の検査が、女性では軽く判定されてしまう、というような指摘もあります。

 同じ腎機能の低下でも、男性と女性とでは別の病気と考える必要がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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