当時、横浜にアートギャラリーをオープンしたので、その日は妻と2人、車でギャラリーへ行きました。その帰り道の運転中でした。これまでとは比較にならない鋭い痛みに襲われたのです。
すぐに車を路肩に止めて休んでみたけれど、治りそうもありません。それどころかどんどん痛みが増して、人生で初めて脂汗というものをかきました。さらに、これも人生で初めて痛過ぎて嘔吐する経験もしました。自分でも「もうこれはダメだ。入院だ」と思い、戸惑う妻に運転を代わってもらい、妻の知り合いの病院へとりあえず運んでもらいました。
調べるとすぐに尿管結石とわかり、即入院となりました。その痛みたるや、指一本動かすだけで全身に激痛が走るほど。うずくまったままどこも動かせないのです。でも、この病気の不思議なところは、石がフラフラ動いている間は死ぬほど痛いのに、石が動かなければまったく普通でいられるところです。
独白 愉快な“病人”たち