時間栄養学と旬の食材

赤貝は夜に食べるとタウリンの疲労回復効果がより見込める

赤貝は鉄分がたっぷりでビタミンB2も非常に多い
赤貝は鉄分がたっぷりでビタミンB2も非常に多い

 江戸前寿司に欠かせない赤貝。きれいなオレンジ色にコリコリとした食感は多くのファンを引きつけます。産地にもよりますが、西日本で5~6月ごろ、三陸辺りで7~8月ごろに産卵するので、その期間は禁漁となっています。

 一年中食べることができるイメージですが、おいしい赤貝が食べられるのは、産卵後、再び身が膨らむ秋の終わりから春先まで。ちょうど今の時季に赤貝は旬を迎えているのです。

 昔は東京湾でもたくさん採れたので身近に食べられていましたが、収穫量がかなり激減して、高級なイメージが定着してしまいました。現在は宮城県名取市の閖上が有名です。その他、北海道南部から三陸、九州、伊勢、瀬戸内、有明、韓国産などもあります。

 そんな赤貝の名前の由来にもなっている特徴はヒトと同じように赤い血(体液)を持っていること。貝の血は、通常はヘモグロビンという成分を含んでいないので透明です。しかし、赤貝はヘモグロビンを含むために、貝を開くと、真っ赤な液体が出てくる非常に珍しい貝なのです。このヘモグロビンの構成成分は鉄なので、貧血気味の方に大変おすすめです。

 鉄だけではなく、ビタミンB12も非常に多く含んでいます。ビタミンB12も鉄と同様に貧血を防ぐ働きがありますし、体をつくってくれるタンパク質を合成したり、修復したりしてくれる役割を持っています。

 そして、タウリンも豊富です。生のひもつき赤貝1粒(7.7グラム)当たり約34ミリグラムのタウリンが含まれ、サザエほどではないものの、貝類の中では比較的多いといえます。タウリンを摂取することによって、中距離走タイムや自転車競技における走行距離の延長、筋肉の疲労や酸化ストレス軽減効果がアスリートやヒトの実験で報告されています。その他、運動時の脂肪燃焼効率がアップするので、体重減少を助ける効果、目の機能向上効果、消化吸収の補助など多方面にわたっての知見がある栄養素になります。

 赤貝1粒当たりのエネルギーは、なんと5.3キロカロリーという低カロリー。糖質も少ないので、夜に食べることで、よりタウリンの疲労回復効果が見込めそうです。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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