オミクロン株は本当に脅威なのか? 統計から見えてくる新型コロナの実態

死亡者数は減少している(C)日刊ゲンダイ

 これについて、専門家らは「新型コロナによる医療の逼迫が影響した可能性がある」と言っている。だが、医療が本当に逼迫した地域はごく限られていたし、それで新型コロナの死者数の数倍も超過死亡数を出したとは考えにくい。

 それよりも、国民に対する行動自粛要請などの影響が大きかったのではないだろうか。

 高齢者の中には、感染を恐れて必要な通院まで自粛する人が大勢いた。そうでなくても、行動自粛は運動不足やストレスの増加を招いた。2020年の間はまだ気が張っていたが、21年に入って、ついに無理が表面化してきた可能性がある。自殺者がかなり増えたことも気にかかる。

 行動制限を限定的に抑えたスウェーデンは、感染拡大直後こそ実死亡数も超過死亡数も大きく上がったが、その後は低水準で推移し、21年に入ってからは超過死亡数がほとんどゼロの状態が続いている。オミクロン株が最初に発生した南アフリカは死亡数がほとんど増えないまま、ほぼピークアウトした。

 日本の政府や自治体は、そういうことも参考にしながら、冷静かつ現実的な対応を進めてほしいものである。

(長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授・永田宏)

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