Dr.中川 がんサバイバーの知恵

三ツ矢雄二さんは前立腺がんで手術を選択 3つの指標で「治療せず」も

三ツ矢雄二さん(C)日刊ゲンダイ

 ラテントがんとは、直接の死因にならず、別の病気で亡くなった方の解剖で見つかったがんを指します。前立腺がんのガイドラインによれば、70代で2割、80代で3割、90代で5割がラテントがん。多くの高齢男性が前立腺がんを持ちながら、問題なく生活しているのです。

 この事実が示しているのは、前立腺がんには命に影響しない穏やかなタイプが存在すること。もちろん、ほかのがんと同じように転移や再発して寿命を縮めるタイプもありますから、それらの見極めが重要ですが、前者なら手術は必要ありません。

 その見極めが、PSA10以下、病気がT2以下(がんが前立腺内にとどまる)、グリソンスコア6以下です。グリソンスコアとは12カ所を採取する生検と病理検査から導く数値で、最も多い病変と次に多い病変を判定して、その数値の合計で2~10に分類します。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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