五十肩を徹底解剖する

「そのうち治るものではない」が医師にも理解されていない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一方、狭義の意味は激しい肩の痛みと、尋常でない可動制限を生じる「凍結肩」という病気を指します。そのうち治ると悠長に構えていられず、治療と回復にも難渋し、長期化することがみられます。

 このように2つの五十肩の病状の深刻さには大きな差があるのにもかかわらず、使い分けが家庭だけでなく医療現場でも十分でないため、ときに混乱を招くことがあるようです。

 その他、広義の五十肩と混同されやすいものには「石灰沈着性腱板炎」や「腱板断裂」があります。また、中高年ならではの「体の衰え、バランスの乱れから生じた機能的な肩の障害」も多く見られます。漠然と捉えられてきた「五十肩」は、実はこの4つに大別されるのです。

 これから、「凍結肩」「石灰沈着性腱板炎」「腱板断裂」「機能的な肩の障害」の考え方と治し方を紹介していきます。よろしくお願いします。

2 / 2 ページ

安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

関連記事