進化する糖尿病治療法

痩せているのに糖尿病予備群…インスリン抵抗性が肥満者と同程度

痩せているのに…(C)日刊ゲンダイ

■食べる量と運動量が少ないことが原因

 なぜこれらの痩せている若い女性に、耐糖能異常が多いのでしょうか?

 研究対象となった若い痩せ形の女性は、身体活動量が少なく、エネルギー摂取量が少ないという特徴がありました。運動量が少なく、食べる量が少ない、というわけです。

「運動しない・食べない・痩せている」という状態をエネルギー低回転型といいます。これによって筋肉量が減少すると、筋肉に貯蔵できる糖の量が少なくなり血糖値が高くなります。というのも、食後に上がった血糖値は、体内で筋肉などに取り込まれて低下するからです。

 さらに、食生活が偏ったり、運動不足だったりすると、筋肉に脂肪がたまり、筋肉の質が低下。それによって血液から筋肉に取り込まれるはずの糖が取り込まれにくくなり、血糖値が高くなります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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