認知症を予防する補聴器のすべて

「お願い、話しかけないで」から「どんどん話しかけて!」へ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 前出の立入教授のご専門は「子どもの補聴器」なのですが、お子さんの場合は、ご両親や周囲が補聴器に対して肯定的で前向きな姿勢になることが第1ステップとおっしゃっています。それは大人の場合でも同じ。周りの人の支えや励ましはとても大切です。

 補聴器をつけた当初は今まで聞こえていなかった音が入ってくることでうるさく感じたり、全部が雑音に感じたりして疲れるかもしれません。かといって最初から疲れない音量にすると、補聴器をつけてもつけなくても一緒となってしまい、せっかくつけた補聴器の効果が期待できません。

 ですから最初は、うるさいけどなんとか耐えられる音量で、そこから3カ月ぐらいかけて、だんだん目標の音量にまで上げていきます。本人が意欲的に取り組むことも大切です。

 さまざまな事情があるにせよ、1週間程度で「思ったように聞こえない」からと途中であきらめるのはもったいない話です。そのために信頼できる補聴器店でサポートを活用してください。きっと新しい世界への扉を開くことができるでしょう。

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田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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