クリスチャンとして知られるドイツの哲学者、アルフォンス・デーケン先生は、「キューブラー・ロスの“死の受容5段階”の後には、神のもとに行ける希望がある」と話されました。また、肺がんを患った先輩のM先生は真宗信者ですが、がんの再発の不安と死の恐怖が去来する中で「いつも如来様と一緒の思いで心が安らぐ」と話されたことがありました。
横井さんは、まったくの孤独の中でも、素朴な宗教心があったことで、もしかしたら心の中では真の孤独ではなかったのかもしれません。
■人はいざとなれば「神様!仏様!」と叫ぶもの
僭越ですが、自分自身の宗教心を見てみると恥ずかしい限りです。これまで、がんの患者さんが亡くなった時、遺族となった方々に「同じ病気の方のために役立ちますからお願いします」とお話しし、たくさんの方から病理解剖の了解をいただきました。患者さんの中には、亡くなる前に「先生から解剖を依頼されたら応じるように」と家族に話されていた方もおられました。
がんと向き合い生きていく