がんと向き合い生きていく

ジャングルでの孤独な潜伏生活を支えた素朴な宗教心とは

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 クリスチャンとして知られるドイツの哲学者、アルフォンス・デーケン先生は、「キューブラー・ロスの“死の受容5段階”の後には、神のもとに行ける希望がある」と話されました。また、肺がんを患った先輩のM先生は真宗信者ですが、がんの再発の不安と死の恐怖が去来する中で「いつも如来様と一緒の思いで心が安らぐ」と話されたことがありました。

 横井さんは、まったくの孤独の中でも、素朴な宗教心があったことで、もしかしたら心の中では真の孤独ではなかったのかもしれません。

■人はいざとなれば「神様!仏様!」と叫ぶもの

 僭越ですが、自分自身の宗教心を見てみると恥ずかしい限りです。これまで、がんの患者さんが亡くなった時、遺族となった方々に「同じ病気の方のために役立ちますからお願いします」とお話しし、たくさんの方から病理解剖の了解をいただきました。患者さんの中には、亡くなる前に「先生から解剖を依頼されたら応じるように」と家族に話されていた方もおられました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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