ひ孫の成長を穏やかに見守る日々。ある意味、達観した療養生活といえるものでした。やがて徐々に食事の量が落ち、昨年秋にはベッドで寝ている時間も長くなりました。それでも栄養を取るためのさまざまな手段を選ぼうとはしませんでした。
我々もそんな患者さんの思いを尊重しながら在宅医療を続けていきました。
それが昨年の11月のある明け方に、娘さんをコールボタンで呼び出し、水を一口飲まれ、静かに息を引き取られました。
その間、背中をさすりながら娘さんが見守られたとのことでした。同居されるご家族に別段の心の高ぶりもない、でも心から温かい思いや、感謝の気持ちが伝わるみとりだったと今も思い出されます。
このように患者さんが過ごしてこられた、時代や思い出もすべて抱えて診ることも、また「在宅医療」の姿だと考えるのでした。
最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと