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大腸カプセル内視鏡検査は5ミリ以上のポリープを94%発見

大腸カプセル内視鏡 
大腸カプセル内視鏡 「コヴィディエンジャパン」提供

 国内の罹患(りかん)者数、死亡数ともに増加している大腸がん。死亡率は男女合わせると肺がんに次いで2位、女性では1位になっている。しかし、大腸がん検査(便潜血検査)の受診率は38%と低く、陽性となり精密検査が必要にもかかわらず検査を受けていない人が42%もいるのが現状だ。

 精密検査は、大腸内視鏡検査が行われるが、肛門から内視鏡を挿入するので敬遠する人も少なくない。2014年に、小型カメラを口からのみ込んで大腸内を撮影する「大腸カプセル内視鏡」が保険適用になったが、過去に大腸内視鏡を行って回盲部(小腸と大腸の境界)まで到達できなかった場合など、一部の人しか使用できなかった。

 それが20年4月から保険適用の範囲が拡大され、使用できる人の幅が広がった。国立がん研究センター中央病院・内視鏡センターの斎藤豊センター長が言う。

「適用拡大で精密検査受診率の向上が最も期待できるのは、大腸が長いと診断されている慢性便秘症の人も受けられるようになったことです。特に慢性便秘症は女性に多く、肛門を介さず検査できることのメリットは非常に大きいと思います」

 他にも、難治性の高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、高度肥満で糖尿病・高血圧症・脂質異常症・閉塞性睡眠時無呼吸症候群のいずれかひとつ以上を合併している患者も対象になる。

 大腸カプセル内視鏡システムは、「カプセル型内視鏡」と、肩にかけて持ち運べる「レコーダー(記録装置)」で構成される。内視鏡には前後2方向が撮影できる小型カメラ、バッテリー、LED光源が装備され、サイズは約12ミリ×約32ミリ。のみ込むと腸管の蠕動(ぜんどう)運動によって進みながら、約10時間にわたって画像が自動で撮影される。そのデータが患者の体に貼り付けたセンサーを経由して、レコーダーに転送される仕組みだ。

「いまの機種は第2世代で、機能も進歩しています。大腸カプセルは通常毎秒4コマで撮影して進みますが、大腸の中をカプセルが速く進んでいるときは最高毎秒35コマで詳細に撮影されます。国内の多施設研究の成績で、5ミリ以上の大きさのポリープも94%で発見できると報告しました」

 大腸カプセル内視鏡を受ける際は、従来の大腸内視鏡検査と同様に下剤を使うが、下剤の服用量は若干多くなるという。検査費用は3割負担の場合で3万円程度になる。

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