ただし、虚血性心疾患の患者さんでも、冠動脈バイパス手術やステント治療といった根本的な治療がしっかり行われていれば、ニトログリセリンのお世話になるケースはほぼありません。ニトログリセリンが使われるのは、中途半端な薬物治療をずっと続けているような場合です。つまり、虚血性心疾患の患者さんでも、適切な根本治療を行えば、バイアグラのプラス効果を享受することができるといえます。
ほかに、バイアグラの使用に注意すべきなのは、「ヒートショック」を起こしやすい素因がある人です。ヒートショックは、急激な温度変化によって大幅な血圧の上下動が起こり、心筋梗塞、大動脈解離、不整脈、脳卒中といった命に関わる疾患を引き起こす現象です。
高血圧で降圧剤を服用していても血圧のコントロールがうまくいかずに薬を何種類も飲んでいる人、慢性的に貧血がある人はヒートショックを起こすリスクが高いといえます。そうした人がバイアグラを服用すると、これも急激に血圧が下がりすぎてしまう危険があるのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」