脳科学者や心理学者の間では、体の動きを見て意識が働きだすことが常識になっています。脳は、頭蓋骨という真っ暗な密室に閉じ込められていて、体の諸器官から送られてくる情報を頼りに自分の状況を判断します。
この連載で扱った「フェイクスマイル」を覚えているでしょうか? 口角を上げ笑っているような表情をつくるだけで、実はストレスが軽減される。これは「笑顔だから私は楽しいのだ」と脳が勘違いし、気持ちが高揚していくから。同様に、「変な動きをするほど楽しいのだから、私は楽しいのだ」と脳が勘違いして気持ちが楽しくなっていくのです。
またペパーらは、元気になった生理的要因として、こういった動きが心拍数を上げるためとも分析しています。心拍数を上げるトレーニングは、うつ病の改善策として用いられることもあるほどです。
もうひとつ、米ミシガン州立大学アナーバー校のシャファーらは、脳科学のさまざまな先行研究をもとに、感情は体の動きによってコントロール可能であると、実験(2017年)で示しています。シャファーらは、22人の被験者に、「ハッピー」「悲しい」「怖い」「中立的」な感情を表す動作をする動画を見て真似してもらい、その際の脳の活動をfMRI(磁気共鳴機能画像法)で記録しました。
科学が証明!ストレス解消法