「アピオス」という名前の野菜があります。聞きなれない方も多いのではないでしょうか。栗や豆のような香りに、ジャガイモ、里芋とサツマイモを足したような食味の植物で、小さいジャガイモのような形をしています。原産地である北アメリカでは、先住民であるインディアンの主食、特に他の部族と戦うときの精力剤として食べていたそうです。
日本には明治初期にリンゴの苗木に交じって青森県へ伝わったとされ、もともと栽培していたホドイモと区別するためにアメリカホドと呼ぶこともあります。現在もアピオスは主に青森県で生産されており、その生産量は全国1位! 特に七戸地区などにあるJAゆうき青森管内で多く作られているそうです。
そんなアピオスには一体どんな栄養価が含まれているのでしょうか? 実は文部科学省が発行している日本食品標準成分表2020年版には、残念ながらアピオスの栄養価は載っていませんでした。
しかし、日本未病学会、農林水産省、JAゆうき青森などの情報があったので見てみると、アピオスの100グラム当たりの主な栄養価はジャガイモに比べて、エネルギーは約2.6倍、タンパク質は約3倍、食物繊維は約5倍、カリウムは約1.8倍、カルシウムは約30倍、鉄分は約4倍と栄養価が大変高い。食べ過ぎには注意ですが、食の細い方には大変有効な食材です。
また、アピオスには動脈硬化や血栓の予防、悪玉コレステロールの減少を助けるビタミンEが含まれていたり、最近ではイソフラボンが含まれていることがわかり、大豆以外の新しいイソフラボン供給源としても話題です。化粧品や食品にも応用研究されています。
さらに、血液中のコレステロールや中性脂肪などを排出し、小腸の脂肪吸収を抑制する作用もあるサポニン。基礎代謝や食後エネルギーの消費を増加させ体脂肪燃焼を促進してくれる大豆ペプチドなどの機能性成分も豊富です。
いつ食べたらいいのかについての知見はまだ見当たりませんが、夜に食べることで効果的な栄養価が多そうです。
ほかにも、アトピー性皮膚炎、便秘、高血圧、リウマチの予防に関する報告もされていて、大変注目されているのがわかります。一般的なスーパーで売っていないときはネット販売もあるので、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。
時間栄養学と旬の食材