感染症別 正しいクスリの使い方

【ノロウイルス】脱水症の対処は経口補水液を活用 常用はNG

常用は避けること

 また、よくある誤解として「水を飲むから下痢をする」や「吐いていると口からは飲めない」といった見解を耳にします。しかし、下痢をしたり嘔吐したとしても、水分や塩分はそれなりに吸収されます。脱水時はORSを飲める時に飲むよう心がけましょう。

 小さなお子さんには、スプーンでゆっくりと飲ませるとよいでしょう。吐いてしまったら、10分ほど待ってから繰り返し飲ませてください。

 ひとつ注意点があります。ORSは脱水症の治療に用いられるべき液体で、常用するものではありません。連日服用すると、塩分の取りすぎになって高血圧につながるリスクもありますので注意が必要です。

 日本では風邪をひいた時に「おかゆに梅干し」を食べる習慣があります。海外では野菜スープを取る国もあるようですが、これらも水分と塩分、そして糖分が含まれており、発熱などによる脱水時にはとてもよい食事であると考えられます。先人の知恵とでもいいましょうか、病気の時にはORSに近い組成の食事を取る習慣が世界中であるのには驚くばかりです。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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