最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

ヘロヘロになりながらの往診では患者や家族に安心を与えられない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 私たちも休息を取りながら次の日に備えられますし、何より患者さんの負担が軽減され、生活サイクル維持につながります。

 結果的に在宅医療の質が上がり、患者さんのQOL(生活の質)の向上はもちろん、ご家族の安心安全にもつながっていると私たちは考えています。

 看護疲れに陥ったご家族と、同じくヘロヘロになりながら往診する医療スタッフという状況では、いい在宅医療は実現しないのです。

 その患者さんは76歳で奥さまと2人暮らし。骨髄異形成症候群と老衰があり、私たちが訪問するようになりました。

 奥さまは病状が変化するたびに不安になるようで、日中、頻繁に電話がかかってきました。その都度、簡単なアドバイスを伝え、必要があれば必ず訪問して患者さんの状態を確認。状況に応じて、症状を楽にするために輸血などの治療を行いました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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