医者も知らない医学の新常識

動脈硬化を予防するとされるが…善玉コレステロールは実は悪玉?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 コレステロールに「悪玉」と「善玉」があるという話は、みなさんも聞かれたことがあるかと思います。悪玉コレステロールというのはLDLコレステロールのことで、この数値が高いと心筋梗塞などの病気になりやすく、一度そうした病気になった人は、薬でLDLコレステロールを下げることにより、病気の再発を予防することができるのです。

 一方で善玉というのはHDLコレステロールのことで、この数値が低いことが、同じように動脈硬化の病気のリスクになることが分かっています。そのために、HDLコレステロールを高くするような薬の研究が進められましたが、予期せぬ副作用が出るなどして、今のところ開発には成功していません。

 善玉コレステロールは、高ければ高いほど動脈硬化を予防すると、これまで考えられていました。ただ、その常識は最近変わりつつあります。

 今年の心臓病の専門誌に掲載された論文に、興味深い研究結果が報告されています。イギリスで41万人以上という大規模なデータを解析したところ、確かにHDLコレステロールが低いと動脈硬化の病気のリスクは上昇していたのですが、男性では高いことも同様にリスクになっていたのです。具体的にはこの数値が80㎎/デシリットルを超えていると、動脈硬化の病気により死亡するリスクが、男性では2倍近く増加していたのです。

 善玉コレステロールが高いことも、常に良いとは言えないようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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