上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

小腸閉塞で入院 最新の内視鏡検査を体験し身をもって進歩を感じた

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 昨年の11月初旬、小腸閉塞を起こして1週間ほど入院を経験しました。医師から患者の立場になり、あらためて気づかされることがいくつもありました。

 事の起こりは、腹部の違和感でした。朝、コンビニエンスストアで購入したサラダを食べた後、胃がもたれるような感じがありました。「あれ、ひょっとしたら冷たいまま食べたので消化が悪かったのかもしれない……」というくらいのごく軽い症状でした。その日は予定6時間の心臓再手術に臨み、人工弁の取り換えを問題なく終えたのですが、その直後から激しい腹痛に見舞われました。

「これは何かあるぞ」

 そう感じてすぐにレントゲン検査をしてもらったところ、その場で「腸閉塞ですよ」と告げられました。自分でも写真を見てみると、小腸がどこかで詰まってその手前で拡張し、襞が見えている状態でした。腸管が塞がって食べ物や消化液などの内容物が通過できなくなり、痛みが出ていたのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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