上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

小腸閉塞で入院 最新の内視鏡検査を体験し身をもって進歩を感じた

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 ただ、小腸は長いうえに壁が薄く、内視鏡の操作を誤ると壁を破いてしまう危険があります。そのため、全身麻酔をして腹ばいになり、動かないようにした状態で、2時間くらいかけて検査をしていきます。初めての経験でしたが、気づいたら検査が終わっていて、何も問題はありませんでした。不具合を起こしていたと思われる潰瘍になっている箇所もきれいに治っていました。

 退院してからは徐々に通常の食事がとれて、排便も罹患前と同様に回復しました。ただ、しっかり治っているかどうか念のため確認しておいたほうがいいと言われ、新たにカプセル内視鏡検査を受けることにしました。こちらも2000年代に入ってから開発されたもので、超小型カメラが搭載された小指の先くらいの大きさのカプセル型内視鏡をのみ込み、画像診断を行います。

 体内に入ったカプセル内視鏡は、腸管の蠕動運動によって進みながら、13時間ほど自動で腸内の画像を撮影します。そのデータは、体にいくつも貼り付けたセンサーを介して、位置情報とともに外部のレコーダーに転送されるという仕組みです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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