今回の「HbA1cが7%にコントロールされている群は、コロナの重症化リスクが低い」という結果は、コロナに感染した時だけのHbA1cを見ているのではなく、コロナ感染2~3年前からのHbA1cの動きを見ています。過去に数年さかのぼって数値が高い人はコロナの重症化リスクが高いという結論は、非常に納得しやすいのです。
そしてもうひとつ、私が着目したのは、数値を良好に保てている期間が2~3年と短くても、効果があるという点です。HbA1cを2~3年から5年くらい良好に保てれば、コロナに限らず感染症の重症化リスクを抑制でき、体に対してさまざまな良い影響があるとは言われていましたが、2~3年でも効果がある。もしかしたら、1年間良好な状態を保つだけでも、効果があるかもしれない。大切なのは、継続するということです。
コロナの重症化抑制だけではありません。糖尿病の薬は日進月歩しています。効果が高く、使いやすい薬が続々と登場しています。血糖コントロールが良い状態を1年でも長く継続していれば、新しい薬が出た時の恩恵を受けやすい。複数の合併症に見舞われた後では、せっかくの新薬の効果を得られない可能性があるのです。
進化する糖尿病治療法