血液型との関係性について、よく調べられているのがマラリアです。少なくとも過去数千年にわたって(ピラミッドの時代以前から)、最も多くの人間を殺してきた病気のひとつとされています。
この病気は、マラリア原虫(プラスモディウム)と呼ばれる病原体が、人間の赤血球に感染(寄生)することで起こります。感染は蚊の媒介によって起こります。マラリアに感染している人から蚊が吸血すると、その体内にマラリア原虫が取り込まれます。そして次の人を刺すときに、唾液に混じって原虫が注入され、新たな感染が成立します。
体内に侵入した原虫は、まず肝臓に移動して、肝細胞に寄生し、増殖して新しい原虫を続々と血液中に送り出していきます。放出された原虫たちは、身近な赤血球の中に潜り込んで栄養分を横取りし、増殖していきます。そしてある程度増えると、赤血球の膜を破って血液中に散らばり、また新たな赤血球に寄生する……というサイクルを繰り返すのです。

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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。