重症化すると、高熱に何日間もうかされ、肺や腎臓がやられたり、脳炎を起こしたりして、致死率が一気に高まります。しかし、重症化リスクは血液型でかなり違っています。O型が他の血液型と比べて重症化しにくいことが以前から知られています。最新の論文によれば、O型の重症化リスクを1とすると、非O型のリスクは次のようになっています。
A型 1.34
B型 1.48
AB型 1.43
つまりB型が最も重症化しやすく、O型の約1.5倍もリスクが高いのです。とはいえ、AB型もA型もさほど違わない数字になっています。マラリアに関しては、O型の独り勝ちです。
マラリア原虫が感染した赤血球の表面には、特殊なタンパク質が発現し、周囲の赤血球と接着して「ロゼット」と呼ばれる微小な血栓を作ることが知られています。これが重症化の原因です。ロゼットは毛細血管に詰まって血流を妨げ、内臓や脳に障害を与え続けます。ところがO型は、非O型と比べてロゼットができにくいため、重症化のリスクが低く抑えられているのです。
このことは、アフリカや南ヨーロッパにO型が多い事実とうまく合致します。マラリアによって、非O型が淘汰され、O型がより多く生き残ったという説が、いまでは多くの科学者から支持されています。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。