独白 愉快な“病人”たち

腎臓がんで手術のBOROさん「小さなことに幸せを見出せるようになった」

BOROさん(提供写真)
BOROさん(歌手/67歳)=腎臓がん

 2021年1月、左腎臓の部分摘出をしました。手術後の鈍痛や、周りの環境を見たとき、ここは「地獄だ」と思いました。

 でもあるとき、ふっと「これが今の自分の現実だ!」と自分自身に起こっている全部を受け入れた瞬間があって、それからすべてが許せました。痛いし、地獄だし、どうしようもない状態の中で、「あとは希望しかない」と悟りのような境地になったのです。

 きっかけはある嵐の後に見えた虹でした。病室の窓の外にきれいな虹がかかっていたのがうれしくて、「自分はまだささやかなことに喜びを感じることができる。虹を見て安らぐ気持ち、その感性が残っている。よかったぁ」と思えたのです。

 主治医に「腎臓に小さい腫瘍ができている」と言われたのは、2018年にCT検査を受けたときでした。私はそれまでにさんざん闘病していたので、主治医が定期的に注意深く私を診てくれていまして、早期発見となりました。

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