腰痛のクスリと正しくつきあう

筋弛緩剤を使う場合は併用する薬に注意する

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 以前は慢性の痛み(腰痛や線維筋痛症)に対して健康保険適用がないTCA(三環系抗うつ薬)のアミトリプチリンを使用することもありました。ただ、最近になって慢性腰痛に対する処方薬として使用されているのが、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)のデュロキセチンです。痛みを抑制する経路(下行性疼痛=とうつう=抑制系)の働きを活性化し、鎮痛効果を発揮します。

 この薬剤も当初は抗うつ薬として販売されていましたが、痛みに対しての効果が承認され、現在は慢性腰痛症をはじめ、変形性関節症や線維筋痛症にも保険が適用されています。1日20ミリグラムから開始して最大で60ミリグラムまで増量することができます。

 気になる副作用として、服薬を開始してから早期に胃腸症状(悪心・嘔吐=おうと=など)、眠気、脈拍や血圧が変動するケースがあります。また、痛みの症状が改善した場合、中止・減量する際、時間をかけなければなりません。適切な使用が求められますので、医師の判断が必要です。

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池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

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