そこで、すい臓がんの重粒子線治療が先進医療として認められているのは2つ。手術を前提とした術前重粒子線治療と、手術ができない、あるいは手術を希望しない人への重粒子線治療です。前者はステージ1~2b、後者はステージ1~3が対象です。
石原さんは当時、87歳。年齢から手術の負担が重く、重粒子線単独での治療だったのかもしれません。
すい臓がんの5年生存率は12.1%。ステージ1でも49.8%です。この49%に入るためには、手術できるかどうかにかかっています。重粒子線治療が誕生しても、根治を目指すなら手術なのです。
そこで、見逃せないのが化学療法でしょう。効果的な薬剤が登場し、従来なら「手術不能」とされた症例に使用することで、手術できるケースが珍しくなくなっているのです。
その薬剤が、ゲムシタビン、ナブパクリタキセル、フォルフィリノックスの3剤併用療法。これによって手術ができるケースは、コンバージョン手術と呼ばれます。これが適用になると、最初から手術適用の人と遜色ない成績です。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵