独白 愉快な“病人”たち

園子温監督が心筋梗塞を振り返る「もう少し病院が遠かったら死んでいたかも…」

園子温監督(提供写真)

 意識がない間にカテーテルで心臓の血管の詰まりを取り除く手術をしました。ただ、1分死んでいたので一部は壊死していて、僕は今、ちょっとだけ壊死した心臓で生きています。

 心肺停止からは電気ショックの3回目で意識が戻ったらしいです。普通は1~2回で戻るもので、3回目以降は望みがだんだん薄くなるそうです。意識がない間、あまりにきれいな星空の中にいたので、目覚めた時、急に病院の天井が見えて、景色の落差に地獄に落ちたかと思いました(笑い)。

■ハリウッド映画のクランクインは9カ月延期

 目覚めた瞬間から息苦しさは一切なく、2週間ほどで退院できました。

 ちょうど翌月からメキシコでハリウッド映画のクランクインでした。でも、緊急事態を知った主演のニコラス・ケイジ氏の心遣いで、撮影は日本、クランクインも9カ月延期になりました。メキシコでの西部劇だったものを日本のサムライ映画に変更しなければならず、それはそれで大変でした。でも、クランクインまでパカーッと時間が空いたので別の作品を撮りまして、それが年末に上映開始となりました。

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