60歳からの健康術

自由診療歯科医が教える歯のケア(6)インプラントはどんな歯科医に任せるべきか

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総合力が求められる(C)日刊ゲンダイ

 前回、歯を抜けたままにしておくことの恐ろしさとインプラントの効能についてお伝えした。

 では、決して安くはないインプラントを入れるにはどういう歯科医師にお願いすればいいのか?
自由診療歯科医で「八重洲歯科クリニック」の木村陽介院長に聞いた。

「通院患者が長くその歯科医院に通っているかどうかも歯科医師を選ぶ基準になります。インターネットや本の記述は患者さんを集めるためのものですから、それだけで判断してはいけません」

 インプラントは保険診療ではできない。当然、自由診療になるが、幅広い分野に精通した歯科医師を選ぶことだと木村院長は言う。

「私がオススメしたいのは、インプラント専門ではなく一般診療も行っている歯科医師です。私は金銭的余裕があるのなら、30代からでも審美だけではない自由診療の歯科医師の活用も検討した方がいいと思います」

 自由診療の歯科医師というと、インプラントや審美を専門にしているお金持ち相手の歯科医師のイメージを持っている人もいるだろう。しかし、木村院長はそんなことはないと言う。

「大切な患者さんのために虫歯や歯周病でも納得のいく治療をするために、公的保険では使えないような材料や手法を使い、時間をかけて丁寧に行う自由診療歯科医師も大勢います。彼らが自由診療歯科医師を続けていられるのは高い治療費に見合う腕があり、患者さんを長く満足させられるからです」

 中高年になると、普段の口腔衛生状態や歯ぎしりによって口腔内が大きく変化する。そのため、総合的に判断できる一般歯科の知識や経験がとても重要になる。

「医師だと治療結果の公表などにより一般の方でもその医師の専門性が判断できると思います。しかし、歯科にはそのような制度がありません。手先の器用さだけでなく治療後の洞察力などの総合力が求められます。それを知るためには経験10年以上の歯科衛生士の方や歯科技工士の方に聞くといいかもしれません。彼らは独自のネットワークを持っていて、インプラントを手掛ける歯科医師の本当の評判を知っている可能性があります」

 どうせ評判を聞くなら歯科医師の方がいい、と思うかもしれない。しかしそれは間違いかもしれない。

「インプラントを手掛けていない歯科医師の推薦はうのみにしないようにしましょう。インプラントの歯科医師に患者を紹介する代わりに何らかの利益を得ていないとも限らないのです」

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