役に立つオモシロ医学論文

子供のマスク着用が保育施設の休園を減らす 米で論文報告

写真はイメージ

 新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、保育施設では子供や職員が感染するなどして、休園を余儀なくされている施設も増えています。

 感染対策に有効なマスクの着用ですが、小さなお子さんでは適切に装着できない可能性もあり、その有用性については議論の余地がありました。そんな中、子供に対するマスク着用の効果を検討した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルに、2022年1月4日付で掲載されました。

 この研究では、米国50州に勤務する保育士6654人を対象に、保育施設に通う2歳以上の子供のマスク着用状況が調査されています。マスクの着用状況は2020年5月22日~6月8日と、2021年5月26日~6月23日に調査され、その間に発生した新型コロナウイルスによる保育施設の休園との関連性が検討されました。

 解析の結果、子供たちにマスク着用を推奨した保育施設では、休園のリスクが13%、統計学的にも有意に低下しました。また、子供たちが1年間にわたりマスク着用を継続することで、保育施設の休園リスクは14%の低下傾向を認めました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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