起始異常がある人は、日常生活で頭に血が上ってエキサイトしたり、いきなり体を動かすなどして血圧が急上昇すると、血流がなくなって心室細動を起こす危険があるといえます。これが、アスリートとなるとさらにリスクはアップすると考えられます。
とりわけサッカーは、試合中、常に走り続けているわけではありません。急にダッシュしたり、止まったり、方向転換したりといったように、オン・オフが激しいスポーツです。いったん休んで呼吸を整え、ボールや相手選手の動きに合わせて一気に加速して走るといった動きを繰り返す場面もたくさんあります。当然、血圧は急激に上下動しますから、起始異常があると再灌流障害から心室細動を起こして倒れ、AED(自動体外式除細動器)による処置が間に合わなければ死に至る--そうしたアクシデントが起こり得るといえるでしょう。
起始異常があるかどうかは、心臓エコーと心臓CTを組み合わせた検査でわかります。近年の検査機器は心臓や血管の状態を詳細にチェックできるようになったので、不安がある人は一度検査を受けておくといいでしょう。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」