五十肩を徹底解剖する

リハビリや体操で硬くなった関節包を外側から引き伸ばす

写真はイメージ

 五十肩とくくられて語られることの多い中高年の肩痛のなかでも、頻度が高いものが凍結肩。通常は薬とリハビリで良くなりますが、なかには難渋することも。今回は凍結肩の手術治療についてお話しします。 

 リハビリでは、自分での体操や、リハビリの先生による治療で、凍結肩の主な原因となる、硬くなった「関節包」という肩の靱帯を外側から引き伸ばし肩が自由に動くようになることを目指します。

 しかし、標的となる肩の靱帯は、体の表面から大まかに数えて皮膚→皮下脂肪→筋肉→骨および骨に付着する靱帯と最深部に位置するため、漫然と外から動かすだけでは、時間を浪費するだけでいつまでも治らないことがあります。

 そこでリハビリの代わりに、手術で肩関節の奥底でこびりついた靱帯を切り離し、一気に関節の動きを取り戻すのです。

 ただ、目標となる靱帯までたどり着くためには、皮膚表面に大きな切開創をあけ、順に深くまで切り開いていかなければなりません。これでは目的は達せても周りの損傷も大きく、見た目のキズあとも目立つことでしょう。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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