新型コロナ第6波をどう過ごすか

2歳児にもマスク推奨…考えない「コロナ対策」は感染者を増やす

写真はイメージ
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 厚労省は8日、2歳以上の子どもについてマスクの着用を推奨する新たな対策を打ち出した。後藤茂之厚労大臣も「保育所につきましてはマスクの着用が無理なく可能と判断される(2歳以上の)子どもについては可能な範囲で一時的にマスクの着用を推奨します」と語ったという。しかし成人でもマスクの意味、目的を理解できず正しい材質のマスクを正しく着用できないのに、子どもにマスク着用を求めるのか? 公衆衛生に詳しい、岩室紳也医師が言う。

「2歳児のなかには、マスクで息苦しくて具合が悪くなっても自分の判断でマスクを取ったり、周囲に訴えたりすることができない子どももいると思います」

 そもそも2歳未満児のマスク着用は奨励されるのか。マスク着用で呼吸がしにくくなると、マスク装着自体が感染リスクになるからだ。

「ほかにもマスクで熱がこもることによる熱中症リスク、マスクで表情が隠れることによる幼児の異変を周囲が気づきにくくなるリスクもある。2歳になった途端、これらがゼロになるわけでもありません。年齢で区切るとはナンセンスです」

「2歳児にマスク着用」の発想が出てくる背景には、感染予防のアイテムであるマスクを何のために着用しているのか? を考えられない風土が定着したからだ。

「マスク着用の本来の目的は自分の飛沫を相手の顔にかけないため。誰かの飛沫を自分の口に入れないためと思っている人がいますが、そのような場面はほぼありません。極論をすれば背が高くて肺活量が多く飛沫が遠くまで届く大人はマスクをする意味がありますが、背が低い上に肺活量が少なく飛沫を出しても届く範囲が限られる子どものマスクが必要とは思えません。子どもといえども大人の顔に飛沫を浴びせれば危険かもしれません。しかし、そのとき大人が息を止め顔を洗えれば、感染リスクはある程度防げるはずです」

 なかには空気中を遠くまで漂うエアロゾルを心配する人もいるかもしれない。エアロゾルはマスクをしていても排出されるだけではなく、成人が正しくマスクを着用したとしてもマスクの隙間から吸入され防げない。

 では子ども同士の感染防止にマスクは必要か。

「子どもはあらゆるものに触る、口にする。友達同士でくっつくが当たり前。そうして成長していく。そんな子どもに感染対策で飛沫を共有しないためにマスクをしろ、と言っても聞くわけがありません。むしろ、飛沫が落下したところに付着しているウイルスに触れた手でマスクの表面をべたべた触ったり、触ったその指を口や鼻の中にいれたりする。子どものマスクは感染予防どころか、感染源になりかねません」

■ワクチンも絶対ではない

「換気の悪い密閉空間」を改善するために換気が十分に行われているかどうかを確認するための二酸化炭素濃度測定器(CO2測定器)。これも、濃度が低ければ安全だと安心してはいけない。

「換気扇の前ではCO2濃度が低くても、ウイルスを含んだエアロゾルの通り道になっていれば感染リスクが高くなる。測定器で安心してはダメで、空気の拡散と流れを考えなければなりません。ワクチンも重症化リスクが低下するだけで感染しなくなるわけではありません。ですから、接種後もウイルスを体内に取り入れない方策を考え続ける必要があります」

 ワクチンで重症化しないということは、ワクチンを打っている人のなかに感染してウイルスを排出していながら症状がない人もいるということだ。マスク、CO2測定器、ワクチン……何も考えずに選択していれば逆に感染を拡大させるかもしれない。そのことも覚えておこう。

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