最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

Zoom導入で訪問診療の移動をしつつ顔を合わせての会議が可能に

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ご存じの通り、当院は訪問診療のクリニックです。

 1日に5~6人くらいの先生を筆頭に、各3人1組で1チームとなって訪問診療を行っています。診療しているのは都内16キロ範囲内と比較的広いため、少しでも効率よく各家庭を訪問できるよう、スケジュールは分刻みです。

 朝9時5分には当院を出発し、診療終了時間18時ギリギリまで患者さんのお宅にいるといったことはざらで、医師も医療スタッフもほぼ診療所にいないことが珍しくありません。すると、顔を合わせての申し送りや問題解決のカンファ(会議)が難しくなってしまいます。患者さんが薬を飲まないとか、ご家族が介護疲れをしているとか、文章で情報の共有をしているのですが、朝礼や夕礼時のちょっとした雑談から得られる情報の中に重要な改善点や貴重なヒントが隠れているケースも多いのです。

 移動しながら、なんとか顔を合わせてのカンファができないか? そこでオンラインの導入を試みたわけでした。ただ、これまで使ったことがあるパソコンメーカーの電話システムや、携帯電話の多者間通話など、いろいろなツールを試してみたものの、どうしても通信が安定せず、音が割れたりしてスムーズな会話になりません。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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