でも、先生はとても不思議がっていました。僕の血液がサラサラだったからです。じつは僕、1歳から12歳まで肺が悪くて入退院を繰り返していたため、体には気を使っていました。激しいドラムを叩くので筋トレもするし、お酒もツアー中やレコーディング中はほとんど飲みません。
脳梗塞の原因がわかったのは退院する頃です。詰まっていたのは「胸腺のかけら」と言われました。胸腺は胸骨の裏にある免疫系の器官で、生まれたときはみんな持っているけれど大人になるにつれてなくなるものだそうです。でも、僕の胸腺は残っていたのです。
その5年前に髄膜炎になったとき、胸にがんがあると思ったら胸腺だとわかって安堵していたら髄膜炎が治るのと一緒に胸腺がすべて消えたという経緯がありました。だから、脳梗塞に胸腺が関係していたのは意外でした。髄膜炎では胸腺が僕を救ってくれたけれど、そのかけらが巡り巡って脳の血管を詰まらせたということのようです。
独白 愉快な“病人”たち