独白 愉快な“病人”たち

LOUDNESSドラマー鈴木政行さん 脳梗塞から奇跡の復帰を語る

鈴木政行さん(本人提供)

■自分に腹が立って何度も涙が出た

 記憶がはっきりし始めたのは18年11月です。時計が読めたことをはっきり覚えていて、その辺りから自分を少しずつ取り戻し始めました。ただ、退院してもしばらくは本が読めませんでした。長い文章は黒い塊に見えて、映画の字幕も文字が図形のようでわからない。友人と食事に行っても、何を話しているのか言葉が頭に入ってこないのです。今はだいぶ良くなって、原稿チェックもできるくらいになりました(笑い)。

 つらかった時期、一番覚えているのはメンバーに「ずっと待ってるで」と言われたことです。スタッフやファンの人にもたくさん元気をもらいました。

 ただ、復帰に向けてドラムの前に座っても、右半身麻痺と感覚障害で体幹も壊れていて右手も右足も思うようにならず、まっすぐ座ってもいられなかった……腹が立って何度も涙が出ました。

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