新型コロナ第6波をどう過ごすか

感染リスクは正しい予防習慣を身につければ抑えられる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今月6日に期限を迎えた31都道府県のまん延防止等重点措置。政府は東京など18都道府県で今月21日まで延長し、福岡など13の県は解除した。

 新型コロナ禍の暮らしも今年で3年目。ワクチンを打っても感染する、もう感染予防に縛られる生活はうんざり、そう考えている人も多いのではないか。しかし、「完全に予防はできないものの、そのリスクは生活習慣によって下げられる」と言うのは、公衆衛生医の岩室紳也医師だ。

「感染力が強く、エアロゾルで感染するステルスオミクロン株が従来のオミクロン株に取って代われば感染者が増える、この変異株はワクチンでも防げないかもしれない、などといわれています。しかし私はそうは思いません。新型コロナはある意味、生活習慣病であり、正しい感染予防習慣を身につけている人は、感染確率が低くなると考えます」

 実際、岩室医師の知人の娘が保育園で新型コロナウイルス感染症をもらってきたが、家族は誰も感染しなかったという。岩室医師はその理由を日頃から感染予防の基本を守ったからだと考えているという。エアロゾル感染を防ぐためエアコンをつけたまま窓を少し開けて空気の拡散、移動と排出に努めたり、食事の直前の手洗い、料理の小分けを徹底したと聞いたからだ。

「この知人の話によると、娘さんが通う保育園では家族全員が新型コロナに感染したケースが多かったそうです。すべての教室にサーキュレーターを入れ、窓を少し開けた状態でエアコンを稼働し空気の流れをつくるなど感染予防に励んだ中学校ではオミクロン株の感染は少なかったと聞いています」

 飛沫は不織布マスク着用か2メートル離れる、エアロゾルは空気の流れをつくり排気する、手を清潔にする、料理に飛沫をかけない。岩室医師はこうした基本を徹底すれば感染は少なくなるという。

「大事なことは感染予防の意識を持ち続け、できることを積み重ねることです。もちろん、ついうっかりもあり感染をゼロにはできませんが、リスクは確実に低下する。実はこうした生活習慣の積み重ねはこれから生き延びるためにも必要で、いまがその習慣を身につけるチャンスです。ご存じの通り、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、そして新型コロナと新たな感染症の登場のサイクルはどんどん短くなっています。この先も感染症が出現するのは間違いありません。しかし、感染症対策の基本は同じですから、いまのうちから感染対策につながる生活習慣を身につけておくことが大切なのです」

 多くの人は新型コロナ対策にはマスクや手洗い、ソーシャルディスタンスしかない、新型コロナが収束すれば必要ないもの、やりたくないもの、と考えている。しかし、それは間違いで人類が進化するための新たな生活習慣の習得が必要と考えるべきだという。

「人類が一夫一妻制になったのも性感染症から身を守るためだといわれていますし、新型コロナもキスでうつります。日本人が握手やハグをせずにおじぎをするのも感染症対策だという見方もあります。今回の新型コロナ感染症は人類が感染症から身を守るための新たな生活習慣を身につけるチャンスだと考え、継続する意識を持つべきだと思います」

 感染症対策を意識なくできるようになるまで徹底することが大切だ。

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