肺炎の場合は基本的に注射による抗菌薬治療になる場合が多いのですが、急性中耳炎では経口抗菌薬による治療がほとんどです。これは肺炎と急性中耳炎の重症感の違いによるところが大きいと思われます。肺炎は重篤化しやすく命に関わることもありますが、現代では急性中耳炎で死亡したという事例は聞きません。
肺炎治療の目標は原因微生物の殲滅です。一方、急性中耳炎においては活性の高い原因菌をいくらか叩いておけば、多くの場合、自己免疫でよくなっていくのです。
また、最近は耐性菌の増加を防ぐためにも、必要がない場合はなるべく抗菌薬を使わない傾向が強くなっています。抗菌薬を使用する場合でも、命に関わらないケースでは、いろいろな細菌に効果を示す抗菌薬より、できるだけ原因菌のみを叩く抗菌薬が優先されることが増えているのです。
感染症別 正しいクスリの使い方